サーフィンのロングボードの醍醐味と言える「ノーズライディング」の基本とコツを解説します。
サーフィンのノーズライディングとは?
サーフィンにおいてノーズライディングというのは、ロングボードでライディングする際のテクニックのひとつで、名前通り「ボードのノーズ(先端部分)に乗ってライディングする」ことを指します。
何故こうした乗り方をするのかと言えば、「ショートボードに比べボードの長さがあるために失速しないように前後に大きく移動する必要あること」や「体重をボードの前面にかけることによってスピード感を増したサーフィンが楽しめる」というものが挙げられます。
そして、さらに技として「コンテストで評価される」ということもあり、ノーズライディングからの「ハングファイブ」「ハングテン」の評価の対象になり、コンテストシーンではよく見かける光景です。
ノーズライディングの基本はクロスステップ
まずノーズライディングをするためには、当然ながらテイクオフのあとに通常のポジションからボードの前に移動をしなくてはいけません。そのときに、最初はたいていの方々がすり足やがに股での移動となってしまうのですが、これでは波のピークを捕らえることが難しいので、「クロスステップ」を習得する必要があります。
これも文字通り足を交差させて歩くという歩き方なわけですが、ボードに一瞬でも片足の状態になるというのは怖いものです。しかし、このクロスステップをマスターしてしまえば、ノーズライディング上達に非常に役立ちます。だいたい最初のポジションから4歩を基本にしてノーズまで移動するのですが、その際に後ろ足に重心を残しておくというのが大切なポイントです。
たとえば急な坂道を下るときに、前足に重心を置いてしまうとバタバタっと前のめりになってしまいますよね?それと同じでノーズライディングにおけるクロスステップも後ろに重心を置きながら足を交差させていくことが上達の秘訣と言えます。
ハングファイブ・ハングテン
そして、ノーズライディングには2つのテクニックがあるのですが、ひとつは「ハングファイブ」、そしてもうひとつが「ハングテン」です。2つの違いはノーズに足をかけているのが「片足か両足か」という違いなのですが、片足がハングファイブで両足がハングテンと呼ばれます。
もちろんハングテンの方が難しく、両足がノーズに乗ってほぼ正面を向いた状態でバランスを取るのは至難の技です。まずはクロスステップをマスターし、その後ハングファイブ・ハングテンと練習していくというのが通常のパターンですが、そのためには乗りやすいボードやステップのタイミングというのも重要となってきますので、そちらについても詳しく見ていきたいと思います。
ノーズライディングしやすいボードは?
一般的にノーズライディングをしたい場合には、ノーズライダーと呼ばれるタイプのロングボードを選ぶ必要があります。中でもノーズ部分に深めのコンケイブと呼ばれる凹み部分があり、テールは反り返りが強めでスピード調節が容易なタイプがおすすめです。
また、レールには低反発タイプの「50/50」、フィンは大きく幅広のものがベストとされていますので、こうした特長を合わせもったものか、もしくは自分でカスタムをしたボードを用意するところから始めましょう。
ノーズライディングのポジション・タイミングは?
それでは実際にノーズライディングをおこなう際のポイントをいくつか見ていきたいと思います。ノーズライディングはとにかくタイミングが命のテクニックです。最初のうちは少しでも波のパワーと体重移動のバランスが崩れると、すぐにワイプアウトもしくはパーリングする結果になってしまいます。
もちろん、どんどん失敗をして自分なりのタイミングを見つけることがベストですが、あまりサーフィンに時間が取れないという方のためにも、早く上達するポイントをご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
波の中腹でレールをセットした状態
まずは通常通りにテイクオフをして、スタンダードポジションでバランスが良い波を待つのですが、この際にボトムターンやカットバックをして常に波のパワーをテールに感じておくことが重要です。
「波の中腹でレールをセットした状態」をキープし、クロスステップのタイミングを見計らうことが大切と言えます。そして、テールにパワーのある波を迎えたら、その力を利用して1歩目を踏み出します。
2~3歩目までスムーズに歩き出し、最後の1歩のバランスを見極めてノーズに足を引っ掛ければハングファイブの形になります。このとき足の重心を後ろに置きながらも、体は前を向いている状態をキープしましょう。
前のめりになっているとすぐに前側にワイプアウトしてしまいます。さらにそこから、波がブレイクする前にもう片方の足も前に出せばハングテンとなるわけですが、とにかく波が崩れる瞬間よりも先に移行しなければ成立しません。
そのため、ハングファイブからのハングテンは、スピード勝負ともいえます。しかし、いくらスピード勝負だからといって焦ってしまうと失敗に繋がってしまいますので、落ち着いてブレイクのタイミングを見定めましょう。また、ボード自体が加速しすぎると上手く両足で乗ることができませんので、後ろ足に体重を乗せて速度調整することも重要です。
テイクオフ直後やボトムターンの後
ノーズライディングに適したタイミングというのは主にテイクオフ直後か、もしくは一度波の下側まで流れてボトムターンをした後の2つ。どちらも速度調整がしやすいタイミングではありますので、このタイミングを覚えておきながら実際に挑戦してみてください。
ノーズライディングのコツ・練習方法は?
ノーズライディングのコツはとにかくクロスステップを覚えることです。
そしてそのクロスステップというのは、常にボードの中心線を捕らえた歩き方が秘訣でもありますので、練習あるのみ。ということで、どういった練習方法があるのかをちょっと見てみましょう。
「陸でイメージして動きを確認」
実際に何度も海でクロスステップの練習をする時間が取れる人は少ないと思いますので、まずは陸でイメージトレーニングを繰り返してからチャレンジすると上達も早いかと思います。練習方法としては、最初に自分のボードのアウトライン(ボードの外枠・幅・広さ)を忠実に再現した布や板、またはダンボールなどを用意します。
そして練習としては、その上でテイクオフからのクロスステップを意識した動きを繰り返すのみ。このとき、足の重心・体の向き・歩幅を確認しておくと海で挑戦したときの役に立ちますので試してみてください。
「ボードの中央を歩く」
ステップは常にボードの中心線を捕らえるようにして歩きます。また、ノーズライディングの基本はだいたい4歩ですので、自分のボードであれば1歩目をどこに置くのか、そしてそのあとのステップはどのあたりに置くのか目星を付けておくと分かりやすいはずです。
こうした反復練習を重ねた後は、実際に海でそのステップを練習すると体が慣れてきて段々と成功率が上がると思います。
ノーズライディングの基本を理解しよう
ノーズライディングを成功させると、それまでになかったような波乗りの感覚と、なんとも言えない快感を得ることができます。そんなノーズライディングですが、ハングファイブにしろハングテンにしろ、基本はまずクロスステップ習得からですので、浜辺でも自宅でもイメージトレーニングを常におこなうようにしてみてください。
慣れてきてしまえば、段々と自分の歩幅やどのタイミングでステップを踏めばいいか分かってくると思いますので、ぜひ何度でも挑戦してみましょう。